方針
2025年11月04日トラブル時のリーダーシップ

 現代は、変化やあいまいさが大きく、先が見通せないこともたびたび起こり得ます。また、働く人の価値観も様々です。いわゆるVUCA時代であり、メンバーひとりひとりの意見を結集して乗り切る時代となっています。リーダーには、一個人が引っ張る従来型のリーダーシップというよりも、メンバーそれぞれが意見を出し合うことを是とし、また、そのような風土を醸成していくスポンサーシップが求められます。
 私も、日常的には、スポンサーシップを心がけるようにしています。経験上も、日常的には、スポンサーシップの方がよい組織風土が醸成しやすく組織力が発揮できると思います。
 でも、時と場合によっては、昭和の時代に横行したリーダーシップ型のマネージメントが必要な場合もでてきます。特に感じるのはトラブル時です。トラブル時は、スポンサーシップよりもリーダーシップの方が適している場合がほとんどです。
 トラブルも、現場で故障などの不具合が発生した、スケジュール通りに作業が進まず納期が守れない等、その種類も様々ですが、トラブルが発生した場合は、そのトラブルを収束させ、早く日常に戻すことが先決になります。
 故障など、あらかじめ定めたマニュアルに従って実行できるトラブルであれば、そのマニュアルに従って関係者が動けば収束です。一方で、節目で判断が求められるトラブルもあります。そのようなときに皆の意見をまとめていたのでは、往々にして時間ばかりが経過します。自身のトラブル経験、またはトラブル経験に長けたものの意見を主軸に、強烈なリーダーシップで判断し指示を与えていく、これが必要になります。
 トラブル時は、指示も具体的なものにする必要があります。狙いを明確にし、だれが責任者、だれが実施者で、いつまでに何をするのか。5W2Hです。トラブルでは、比較的多数のメンバーがかかわります。そのような時に指示にあいまいさが残ると、それぞれが勝手に解釈して、ちぐはぐな対応につながりかねません。
 
 また、節目で判断し、的確な指示を行うためには、現場で何が起こっているのか、ファクトをできるだけ細かく正確に把握する必要があります。この情報が上がってこない場合には、情報の早期の共有を指示する必要があります。この場合も誰がいつまでにといった5W2Hを明確にする必要があります。
 重要なプロジェクトになると、想定通りに進まないだけでトラブルになり得ます。日常的にはスポンサーシップで進められるものが、とある断面でいきなりリーダーシップが必要な場面へと変化します。この変曲点を見極めることも必要です。