方針
2025年06月24日実施者と責任者

5W1Hの一つにWHO(誰が)があります。業務上、このWHOは大別して2つあると思っています。誰が実行するのか(実施者)、誰の責任で行うのか(責任者)です。
具体的な作業マニュアルや手順書は、それに基づいて作業を行うのですから、実施者が重要です。したがって、WHOは実施者を表すことになります。一方で、社内の取り決め等、ルール的なものになると、責任者のもとにチームや組織で展開されることになります。したがって、責任者が重要になります。この時のWHOは責任者を表すことが多いです。
5W1Hでみると、実施者も責任者も同じWHOですから、混同されることがあります。その背景(理由)の一つに、責任の重みを感じる立場を経験しているか/していないか があると思っています。
私の経験上、「責任者」を強く意識するようになったのは、管理職(課長)になってからです。それまでは、業務上は「実施者」でしたから、WHOは実施者ばかり意識していたと思います。実際に、書類の実施者に実施責任者としての課長が書かれているにもかかわらず、課長が直接実施するんだと勘違いをすることもよくありました。
管理職になると、組織運営を任されますから、それまでよりも責任範囲がぐっと増えます。責任の重みを実感するようになります。管理職になりたての頃、具体的に組織運営を始める前で、まだ課題に直面もしていないのに、管理職になったというその事実だけでそう感じたのを思い出します。不思議な感覚です。
でも、この感覚は、私だけではなかったようです。
先日、当社の新任管理職の方に、「管理職になってどう? 今まで以上に責任の重要さを感じてない?」と問うてみましたが、「はい、その通りです」という答えが返ってきました。
また、昔、直属の部下が言っていたのを思い出します。
「副長時代、部長や課長から責任の所掌を口酸っぱく言われ、何でそんなにこだわるんだろうと本気で思っていました。でも、自分が管理職になったとたんにその気持ちがよく分かりました。今では、自分が率先して責任の所掌にこだわっています。」
責任の重さを(理屈だけでなく)身体で感じ始めるのが管理職ということになるのでしょう。
話を冒頭の実施者/責任者に戻すと、管理職の立場になると、実施者なのか責任者なのかは意識しなくても区別するようになります。反対に、一般職の方は実施者としての役割が主ですから、実施者に関心が行く傾向になります。その結果、実施者/責任者が混同されるケースが出てきます。管理職が注意を払うべきポイントの一つになると思います。
もちろん、私が経験上感じていることであって、皆がそうであるということではないかもしれません。でも、こういった傾向が往々にしてあり得るということは知っておいて損はないと思います。