方針
2025年06月03日(解説)パーパス経営 (2)条件とメリット

パーパス経営は、以下の5つの条件を満たすものである必要があります。当社が制定したパーパスはこれを満たしています。
(1)現代の社会課題を解決するもの
環境問題・人権問題・労働問題など様々な課題に対して真剣に向き合うことで、自社の存在意義も明確になります。社会課題の解決に貢献することで、ステークホルダーの共感も得やすくなります。
(2)自社の利益につながるもの
営利企業であれば、「最終的に自社の利益につながるようなパーパス」を検討することが必要です。
(3)自社のビジネスに直接結びつくもの
自社の事業と直接結びつくようなビジネス、ある程度ノウハウや経験があるようなビジネスを前提とした上で、パーパスを策定する必要があります。
(4)自社で実現可能なもの
自社の資金力や労働力を超えるような取り組みは、実行できないままで終わる可能性が高いです。自社で実現可能なパーパスを策定する必要があります。
(5)従業員のモチベーションにつながるもの
従業員全員が働きがいを感じる必要があります。「自社の存在意義は何なのか」「現在行っている仕事の社会的意義は何なのか」を認識しやすいよう、全員が共感しやすいパーパスを策定し、従業員のモチベーションを高めていくことが重要です。
また、当社のパーパスは、主としてエンゲージメントの向上を目指して制定した経緯がありますが、それ以外にも、パーパス経営にはメリットがあります。
(1)迅速な意思決定が可能になる
パーパスは、企業にとっての行動指針そのものであり、戦略を考える際の「道標」となります。パーパスが社内に浸透していれば、従業員全員が同じベクトルで仕事を進めていくことができます。意思決定の質やスピードのアップが期待できます。
(2)従業員のエンゲージメントが向上する
パーパスは、その企業で働く意義・意味を言語化したものです。企業がパーパス経営を実践することで、従業員は、自分の業務が社会貢献につながっていると感じやすくなります。「自分が何のために仕事をしているのか」「自分の仕事がどのように社会に役に立っているのか」といった社会とのつながりを感じられるようになるため、従業員のエンゲージメント向上に寄与します。
(3)ステークホルダーから支持されやすくなる
パーパス経営に真剣に取り組んでいる企業は、外部にもポジティブな印象を与えます。ステークホルダーからの共感や支持も得やすくなります。
(4)イノベーションが生まれやすい
パーパス経営の特徴とも言える「社会貢献」について考えることは、改めて、ユーザーの顕在的・潜在的ニーズを把握することにつながります。また、従業員全員が同じ方向性で仕事を進められるので、組織としての一体感が生まれます。お互いにアイデアを出しやすい環境になる、他人の意見を素直に受け入れやすくなるといったメリットが生じやすくなります。
一方で、パーパス経営はメリットばかりとは限りません。パーパス・ウォッシュにならないよう注意することが必要です。
パーパス・ウォッシュとは、「パーパスを掲げながらも実態が伴っていない状態」のことを指します。パーパス実現に向けて努力しているように見せかけて、お題目化しているといったことがあげられます。
従業員やステークホルダーからの信用を失ってしまいますので、気を付けなければなりません。
(おわり)
(参考資料)
「パーパス経営とは|メリットや取り組み方から企業事例までを徹底解説」、日本能率協会マネジメントセンターHP
https://www.jmam.co.jp/hrm/column/0083-purpose-kesei.html