方針
2025年06月05日サーチング・ロス

組織改革をしたいときに、よく真っ先に使われる手段が5Sの徹底、5S改革です。オフィスワークでは、個人の引き出しをなくす、帰宅時には机の上に書類を置かない、よく聞くフレーズです。
なぜ、改革が5Sからなのか。仕事はもちろん、生活するうえでの基本であり、物理的には誰でもできること、これが大きいのだと思っています。また、改善ではなくて改革ですから、現状を変えることにそうそうたる覚悟が必要です。オフィスワークで個人机の引き出しをなくす、個人で書類を持たず必ず決められた場所に戻す、言葉で表すとたったこれだけのことであっても、実行するとなるとかなり大変です。物理的な大変さよりも、精神的な大変さに打ち勝たなければなりません。また、一旦、実行したとしても、ちょっと気を抜くと、すぐに劣化しやすいことでもあります。改革の実行にはうってつけです。
改革したい主題は5Sとは別であり、本質はそうではないでしょう、と食ってかかる人も出てきます。気持ちはわかりますが、覚悟さえ決めれば誰でもできる5S改革ができないようでは、もっと難しい改革に取り組んでも先は見えているということになると思っています。
過去、所属した組織でオフィスワークの5S改革に取り組んだ経験があります。メインは書類管理の改革です。個人机の引き出しをなくし、個人書類は持たず、あらかじめ定めた場所に返す、これを徹底するようにしました。個人の書類を整理したほか、共通のキャビネットも大々的に片付け、必要書類がおけるスペースを確保しました。
今まで適時に片付けなかった書類もすぐに片付ける癖がつくようになりました。引き出しがないとは言っても、必要なものを収納する簡易的なロッカーを設けましたので、そのロッカーに収納できるくらいの書類は保持できますが、その収納量以上に書類が増えなくなりました。もちろん、最初は大変な思いでした。周りからも愚痴に近い不平が聞こえてきました。が、慣れてくると、結構、軌道に乗ってきます。
なお、トラブル対応時など、緊急を要するときなどは、書類をすぐに片付けられない場合が発生しますので、一連の対応が終わった後に片付けることとし、仮置き表示をして机上にファイルを残すことを是としました。
5Sを徹底すると、情報管理の徹底がしやすくトラブルが起こりづらくなりますが、そのほか、残業時間が減るという効果があります。なぜか。物を探す時間が、5Sを徹底していないときに比べて、格段に減るからです。
業務中に物を探す時間は、ばかにならないという記事を読んだことがあります。この探す時間は、ロス時間、サーチング・ロスになります。記事では、毎日のサーチング・ロスを集積すると、年間では2週間以上になるとの内容でした。1年のうち、半月以上は探しているだけで何も成果をあげていないということになります。
サーチング・ロスは、その時点時点では、ロスが小さく身をもって感じづらいという特徴があります。ボディブローのように効きがくるということです。サーチング・ロスは、毎日、必ず発生していますので、この短縮の積み重ねが業務効率化に効いてきます。5Sの徹底はその積み重ねに繋がります。
サーチング・ロスの排除、これは書類に限った話ではありません。最近はデジタル化が進んでいます。皆さんのPCの内部でどのようにフォルダ管理がされているかは、かなり重要です。どこに保存したか忘れてファイルを探すことはないでしょうか。私自身は、PCのファイル整理には気を配っているのですが、最近は、メールで受け取って、後で確認するときに、どのメールだったか探すことをよくやってしまいます。
これらをなくすように管理することも、サーチング・ロス排除に有効です。