方針
2025年05月22日異動は成長の機会

ある程度の規模の会社になると、定期的に比較的広範囲での人事異動を行います。定期異動と呼ばれるものです。当社では4月がこれに当たります。
もちろん、定期異動に限らず、期中であっても異動は発生します。
かつての職場で、定期異動時に、上司が以下の内容の話をされたことがあります。
「コンピュータプログラマ―やグラフィックデザイナーのような特殊な技能を必要とする職種は別として、企業では、その人の能力が経験に比例して形成されることが多い。我々の仕事もしかりで、先輩の方が経験がある分、その先輩を追い越すことは難しい。同じ課やグループの先輩をいつまでたっても追い越せない、つまり先輩がいる限りにおいて、自身はその組織で1番にはなれない。でも、その先輩が1番の状態がずっと続くこともいいことではない。これを解消する方策が異動である。技術・技量を身に付けた先輩は、異動で別の部署に行き、新たな技術・技量を身に付けることに挑戦する。新たな部署では、その先輩はもしかすると新米で、その部署に古くからいる方を追いかける側にまわる。こう考えると、異動はその部署を卒業して新たな部署に旅立つと考えることができる。
一方、元の部署に残った自身は、上が抜けたので、その部署の新しい1番手として働くことになる。1番手として職を全うしたころに、自身も異動=卒業となる。そして次の方がまた1番手を担う。」
もちろん、現実的には、異動するのは1番手の方ばかりとは限りません。この時の上司の話は、異動は個人の成長の手段であり、組織活性化の手段であるということを伝えたかったのだと理解しています。
異動には、積極的な異動と、(積極的ではないが)やむを得ない異動があると思っています。
積極的な異動とは、個人の成長のための異動、そして、業務をよりスムーズに進めるなど、組織を活性化するための異動です。この2つがうまくかみ合い、異動した本人がさらに活躍できること、これが最も理想的な異動と思います。上述の上司の話の趣旨そのものです。
やむを得ない異動とは、個人がその職場にとどまることが不利益と考えられるときの異動です。業務がどうしても合わない、体調がすぐれずに異動した方がよい、家庭の事情等、会社とは別の事由を優先的に考えざるを得ずその職場にとどまれないといったことが例としてあげられます。
でも、いずれの異動も、当人がいかに活躍できるかに焦点があてられる面は共通と言ってよいと思います。
管理職になると、部下の異動を考える立場になりますが、その部下がいかに成長するかは本人にとっても会社組織にとっても重要です。私自身、ここを第一に考えてほしいと思っています。
現実的には、成長のために異動して経験を積んだ方がいい、だけど今、あの人がいなくなると業務が回らないということに直面することがあります。簡単な問題ではありません。私の経験でも、業務の方を選択せざるを得なかったケースがあります。ただし、一時的にはそうであっても、どうしたら(彼・彼女が卒業しても)業務が回るようになるかを考えていくことが重要と思います。
一方、異動を命じられた方は、それが意にかなったものばかりとは限りません。意にかなったときはもとより、意にかなったものでなくても、異動=成長の機会であり、また、当人が活躍できる場を与えられたと捉え、新しい職場で活躍・成長していってほしいと思います。