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2025年05月29日(解説)パーパス経営 (1)注目される背景・理由

 当社は、今年度から新たにパーパスを制定し、ブランドコアの最上位に位置付けています。ここでは、2回にわたりパーパス経営について記載します。

 パーパス経営とは、社会においてどのような存在意義を出してどのような貢献をするのかを「パーパス」として掲げ、その「パーパス」を軸に経営を行っていくことを言います。そもそもパーパス(Purpose)とは「目的」や「意図」を表す言葉ですが、ビジネスにおいては「企業の存在意義」という意味合いが強いです。

 パーパス経営は、以下のアメリカでの動きがきっかけとなっています。これらの動きを受けて、「パーパスのために働く」という意識がアメリカ経済全体で高まり、日本にもその影響が広がってきています。
・2019年、アメリカの大手経済団体「ビジネス・ラウンドテーブル」が、『Statement on the Purpose of a Corporation(企業のパーパスに関する声明)』を発表。同声明では、これまでの「株主至上主義」を見直し、「人や社会を重視する方針」に転換すべきことを宣言しています。
・その前年の2018年には、大手投資運用会社ブラックロック社のCEOであるラリー・フィンク氏が、年次書簡において「パーパスの重要性」を説いています。

 また、パーパス経営は、以下の社会的背景・理由により、注目され始めています。

(1)SDGsやサステナビリティ経営への関心の高まり
 2015年、国連サミットにてのSDGsの採択を受け、「サステナビリティ経営」に注目が集まるようになりました。利益を追求するだけでなく、環境や社会にも目を向け、長期的な視点で持続可能な事業を行うことが重要視されます。このため、自社の存在意義や価値観を明らかにして、どのような方向性で事業を進めていくのかを再検討=パーパスの策定が求められるようになりました。

(2)ESG投資の広がり
 環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)を重視したESG投資の広がりも、パーパス経営に大きな影響を与えています。
 近年は、財務情報だけでなく、「環境や社会に貢献しているかどうか」を考慮しながら投資判断を行う人が増えており、パーパス経営を実践している企業ほど、投資家に選ばれやすくなっています。

(3)ミレニアル世代やZ世代の台頭
 デジタルネイティブであるミレニアル世代やZ世代は、インターネット環境が整った状況で生まれ育っており、日常的に多種多様な情報・価値観に触れるのが当たり前になっています。これらの世代は、エシカル消費(人・地域・社会に配慮した消費行動)を行う傾向が強く、企業に対してより社会的価値を求めていると言われています。ゆえに、パーパス経営を進めている企業ほど、ミレニアル世代やZ世代の共感や支持を得やすくなっています。

(4)VUCA時代の到来
 外部環境の変化が激しい現代において、企業が成長を続けていくためには、「何のために自社は存在するのか」「どのような行動指針をもとに仕事をすればよいのか」などが会社全体で共有されている必要があります。また、幅広いステークホルダーと協調していく姿勢が大切だと言えるでしょう。
 そのためにはパーパスの策定が非常に有効です。ゆえに、多くの企業がパーパス経営に取り組み始めています。

(5)DXの浸透
 パーパス経営が注目を集め出した社会的背景として、「DXの浸透」も挙げられます。ITツールを導入し、業務の変革や改善を目指して取り組みます。DXを推進することで、既存事業の構造や意思決定プロセスを一から見直し、競争優位性を確立していきます。
 ビジネスモデルを変革するためには、当然、「自社は何を求められているのか」「自社は何のために存在しているのか」を根本的に考え直さなければなりません。つまり、「パーパスの見直し」から始める必要性がでてきます。

(つづく)

(参考資料)
「パーパス経営とは|メリットや取り組み方から企業事例までを徹底解説」、日本能率協会マネジメントセンターHP
https://www.jmam.co.jp/hrm/column/0083-purpose-kesei.html



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