方針
2025年06月19日「わからなかったらまず聞け」(2/2)

社会人になっての「まず聞け」、学生時代の「まず調べろ、勉強しろ」。一見、相矛盾する言葉ですが、双方、重要な言葉だと思います。
学生と社会人の立場の違いが背景にあると思っています。学生は学ぶことが主です。カリキュラムには、論文などで成果発表という内容が加わりますが、私が師事した大学の先生は、特に学生に対して、論文の成果よりも、そのプロセスを大事にする方でした。「答えにたどり着くまでにどう調べるか、どう勉強するか、ここが大事で、学生のうちにこのやり方を学んでほしい。このやり方を覚えることは、大学を卒業してもきっと役に立つ。」
学生は、自分でお金を払って学びに行きます。学校にいる時だけではなく、時にはホームワークも求められます。何を得るために学ぶかを考えたとき、効率的に「まず聞く」よりも、苦労して「まず調べる勉強する」の方が効果が大きいということだと、理解できます。私が学生の頃は、今のように便利なネット検索はなかった時代なので、図書室にいって論文検索を頼んだり、大きな書店に行って専門書をあさったり、苦労して調べたことを思い出します。先生からはそれでも足りないと、どやされっ放しでしたが、入社後もその経験は活きたように思います。
若い時の苦労の度合いはそのまま成長の度合いに直結するということです。
一方、社会人では、プロセスも大事ですが、成果の方が大事な場合がほとんどです。中には100%成果だという方もいるくらいです。したがって、効率的に物事を進めていく必要があります。周囲に経験者のいない新規案件など、一から調べる必要性がある場合は別として、求められる成果に対して調べる・勉強する時間が十分にとれない場合もでてきます。往々にして経験者に聞く方が効率的・効果的です。したがって、「まず聞け」が重視されます。
なお、特に経験者じゃないとわからないような過去の経緯やノウハウ的なことが主題になる場合があります。これは自分だけでは答えにたどり着けませんので、聞くしかないということになります。
聞かれた方が、多忙等で十分に相手できないとき、また、質問に即座に答えることは当人の成長によくないと考えるときなどは、聞かれても「まず調べろ勉強しろ」が返ってきます。質問した方からすると、あまりいい気分はしません。質問しなきゃよかったと思うこともありますが、前述の部長の言葉のとおり、これも一つの答えです。割り切りも必要になります。でも、時には「〇〇を調べてみろ、◇◇を読んでみろ」と具体的なアドバイスが添えられることもあります。それだけでもかなりの前進です。
「すぐ聞くのか」「すぐ調べる勉強する」のか、効率性を重視するのか、成長を重視するのか、内容に応じて、使い分ける必要性があるということになります。でも、即断即決できずに、どちらがいいか迷って時間を費やすくらいだったら、すぐに聞いた方がいいと思います。