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2025年06月10日無事之名馬

 無事之名馬(ぶじこれめいば)という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 

 無事之名馬(無事是名馬とも書きます)とは、競走馬を指して「能力が多少劣っていても、怪我なく無事に走り続ける馬は名馬である」とする考え方を表した格言です。

 馬主でもあった作家・菊池寛氏による造語として有名ですが、実際は時事新報の岡田光一郎氏によるものだそうです。

 菊池氏は日本競馬会の雑誌『優駿』に寄せた随筆で、馬主としての経験から以下のように語っています。
『楽しみを覚える割合に較べれば、心配や憂鬱を味わう時の方が多い。馬を持っていることの楽しみが二、三割だとすれば、心配や憂鬱の率は、まず七、八割にも及ぶであろう。それも、大部分は馬の故障から来るのだ』
『馬主にとっては、少しぐらい素質の秀でているということよりも、常に無事であってくれることが望ましい。「無事之名馬」の所以である』

 この考えは馬主のみならず多くの競馬関係者の共感を呼び、以後「無事之名馬」は頑健に走る馬を賞賛する言葉として使用されています。

 この言葉、馬の世界に限りません。例えば、プロスポーツ。活躍していたトップの選手が故障で離脱。そのシーズンを棒に振ったなんて話はそう珍しい話ではありません。本人が一番残念だとは思いますが、チームやファンも同様に残念です。故障なく、コツコツと活躍を続けることの大事さを知らされます。

 我々の業務もしかりです。がんばりすぎて体調不良を起こし、療養せざるを得なくなるという状況は避けたいです。業務の点数が高いことに越したことはありませんが、高くなくても無事にコツコツは大事です。

 私自身、極論を持ち出して、よくこういう話をします。
「かなり優秀な人がいたとする。周囲の皆が100点の仕事をするとしたら、その人に任せれば300点の仕事をしてくれる。一方で、周囲の人に比べると60点くらいの仕事しかできない人もいたとする。
 その優秀な300点の方が、ある時にかなり頑張ってくれた。でもがんばりすぎて、結局、身体を壊してしまった。1年間しかもたずに会社を離脱した。
 一方、60点の方は、周囲の助力が必要ではあったが、コツコツと仕事をしてくれた。5年以上たった今も働いてくれている。
 5年間をトータルの点数・年数で表すと、優秀な方は300点×1年=300点・年、60点の方は、60点×5年=300点・年 で数字上は同じになる。でも、5年を超えた時点で数字も逆転する。短期での成果が重要な時はあるが、やはり無事之名馬。無事に長期間がんばれる方が総じていいということになる。」

(参考資料)
「無事之名馬」、Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E4%BA%8B%E4%B9%8B%E5%90%8D%E9%A6%AC



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