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2024年05月30日上には上が

 一昨日クマムシの生命力が強い、と書きましたが、やはり乾燥状態になることでクマムシ以上の耐久力を見せる生物に、ネムリユスリカという昆虫の幼虫がいます。

 ネムリユスリカはハエ目ユスリカ科に属し、体長5ミリ程度で、アフリカの半乾燥地帯に生息しています。岩のくぼみなどにできた水たまりに産卵し、幼虫(アカムシ)はそこで生活するのですが、水たまりが干上がってしまうことも珍しくありません。すると、その幼虫は、クマムシのように乾燥した状態の「乾燥アカムシ」で生き続け、次の雨を待って水を吸収し元に戻ります。

 「乾燥アカムシ」の状態で生きながらえた最長記録は17年ですが、それが限界かどうかは分かっていません。また、高温や低温にも強く、103℃で1分間、グツグツ煮ても死ななかった例やマイナス190℃で77時間耐えたという例が報告されていますが、これらもそれが限界だという訳ではないようです。

 「乾燥アカムシ」をアルコール漬けにした実験もあり、168時間も生きていたということで、いくら酒好きの誰かさんでも同じことをされたら生きられないしょう。また、放射線への耐性も強力で、ガンマ線換算でクマムシの1.5倍近くの線量を浴びても死にません。

 以上、クマムシもネムリユスリカの幼虫も自ら乾燥状態にして、過酷な環境に耐えるものでしたが、微生物にはなるものの、上記に触れた極限環境(高温、高圧、塩分、放射線など)でもいきいきと活動している生物もいます。むしろ積極的に、そうした環境を好んで生きている生物も居れば、そうした環境でしか生きられない生物もいます。

 彼らこそが、細菌や古細菌に属する真に強い極限生物、即ち「極限環境微生物」(学術用語)なのだそうです。これらを含めると、この地球は「微生物の星」と言って良く、陸上海上に居る普通の動物の重量合計が約100億トン、「木質」(生死が良く分からない)を含めて植物の重量合計が1~2兆トン、極限環境を含めて様々な箇所に棲んでいる微生物の重量合計が(あんなに小さい体なのに)数千億トンと考えられているのだそうです。

 宇宙の規模や動きを見て人間の営みが些細なものだと感じる方も多いと思いますが、地球上の様々な生命の営みを見てもその多種多様性を前にして、実に不思議で圧倒されるものだと思わずには居られません。

参考:死なないやつら、長沼毅、講談社ブルーバックス、2013.12.20



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