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方針

2025年04月01日下町のウルトラセブン

 20数年前の話です。その時は、家族で東京に住んでいました。勤めていた日本原燃自体は既に青森県に本社を移し(当時は青森市に本社)、社員の大部分の方も、青森市または六ヶ所村勤務になっていましたが、私自身は東京勤務の時期があり、その時の話です。

 2人の子供もまだ小さく、長女が幼稚園、長男はまだ歩くのもままならない時期でした。近くの催事場で、ウルトラマンショーがあるということで、家族で出かけました。

 ちょっとしたステージが設置され、そこで、ウルトラマンやウルトラセブンをはじめとするウルトラ兄弟が、地球に害を及ぼす宇宙人や怪獣をやっつけるという定番のショーです。下町のショーですので、大々的なステージではなく、こじんまりとしたステージでした。観客とヒーローの距離が近いのも特徴です。観客は見た感じで50~100人くらいの規模と記憶していますが、子供たちをはじめ家族連れが集まり、会場はそこそこのにぎわいを見せていました。

 最初に、怪獣や宇宙人が出て、いわゆる「悪さ」をします。時には、観客、特に幼い子供たちを驚かしたりします。「ウルトラマン、早く出てきてやっつけてくれ」こう願った矢先に、ウルトラマンやウルトラセブンをはじめとするウルトラ兄弟が出てきます。会場は大盛り上がりです。

 ウルトラマンやウルトラセブン、大人から見れば、もちろん衣装をまとっているだけなのですが、子供たちからみればヒーローです。でも、この時のウルトラセブン、何か様子が変です。このウルトラセブンのおかげで、我々、大人からしてもハラハラドキドキのショーでした。

 ウルトラセブンの担当者が直前で変わったのでしょうか? 体型がそのままわかる衣装でしたが、ちょっと小太りなのです。お腹が微妙に出ているのがわかります。明らかにおじさん体型です。これもご愛嬌といえばご愛嬌の範囲なのかもしれませんが、結構、激しいアクションが続きます。演じる方もそれなりに体力・持久力を必要とすることは見ていても感じますが、ウルトラセブンだけ、ショーが進むにつれて、なんか苦しそうです。息が切れているようで、微妙に出ているお腹が激しく動いているのがわかります。多分、相当に汗をかいているのでしょう。そのうち、肩で息をするようになりました。

 スタミナ切れ、熱中症で倒れないか、見ていてかなり不安です。隣で妻からも「あのセブン、大丈夫かな?」 心の中では「がんばれ!」です。宇宙人や怪獣をやっつけてというよりも、最後までもってほしい、この一心です。

 当人の安全もさることながら、子供たちのヒーローが、理由は何であれ、その場で倒れたら洒落になりません。下手をするとトラウマ的に記憶に残ります。肩で息をしているウルトラセブンのアクションが続いている間は、ハラハラドキドキ。「頼むから最後までもってくれ」

 結局は、最後まで演じ切ってくれました。怪獣をやっつけてよかったというよりも、子供たちの夢が壊れずホッとしたのを覚えています。

 ショーを見てホッとしたのは、後にも先にもこのショーだけです。かなり記憶に残るショーになりました。



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