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方針

2024年05月21日歓迎の酒

 ある村に新しい役人が着任することになった。村人たちはその役人が着任する日に歓迎の宴を開くこととした。集会場の中庭に空の樽を用意し、前日までに村人それぞれが一瓶分の酒を樽の中に入れておくことにした。

 当日までに樽は一杯になった。新任の役人が到着すると、住まいに案内し、その後集会場で、祝いの宴となった。しかし、どうしたことか、樽から注いだ液体は全く酒の味がせず、それはまるで水のようだった。長老たちは新任の役人の手前、戸惑い恥じ入った。突き刺すような静寂の中、隅に居た貧しい村人が立ち上がって言った。

 「皆さんに告白します。実は皆が酒を注ぎ入れるだろうから、ワシが一瓶ぐらい水を入れたって、誰にも分からないだろう。そう思ったんです。」
 間髪入れず、別の男が立ち上がり、「実は俺も同じことを…」と言った。
 その後、次々と「わしもです」「おれもです」と言い出し、とうとう村人全員が同じことをしていたことが分かった。

 この話の教訓は「自分一人ぐらいさぼっても…」が広がると組織は崩壊するということです。誰かがフォローしたり尻ぬぐいしたりするうちは表面化してこないし、運が良ければそれがバレない(トラブルに繋がらない)かもしれません。しかし、ちょっとしたことで、一気に問題が表面化したり、トラブルに繋がったりするものです。

 元サッカー日本代表某監督は、これの類似話をしばしば選手に聞かせていたといいます。「みんなのチーム(会社)」というと聞こえはいいが、「自分一人ぐらい、少しぐらいならサボってもいいだろう」と考えてはいないだろうか、と。

 「自分の汗と血がチーム(会社)を支えている」という強い気持ちを一人ひとりが持つことで、「自分のチーム(会社)」と思い、その強い気持ちが集まってできた「みんなのチーム(会社)」は無敵だろうと思います。

 日々のたゆまぬ安全、品質、業務実施/改善の努力、今であれば当社信用に係る危機的状況回避のために、未だ止まらない(これまで幸運にも起きていなかっただけの)品質系インシデント頻発の抑止が、全体の業績に繋がるものだと改めて意識したいものだと思います。

参考:『座右の寓話』、戸田智弘、ディスカヴァー・トゥエンティワン 



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