方針
2024年05月14日約束を守る責任

「今度の展示会で商品のお披露目をしようと考えているので、会場設営や商品発送など準備を頼む」と社長に言われたAさんは、張り切って準備を進めました。
商品はギリギリまでブラッシュアップするために、展示会の当日の朝、会場に到着する予定でした。ところが、その日、工場から展示会への道のりで大規模な車両事故が起きて、道路が大渋滞したため、展示会には間に合いませんでした。
社長に経緯を尋ねられたAさんは、申し訳ないという気持ちとともに、淡々と展示会への到着が遅れた理由を説明しました。
それを聞いていた社長はAさんの態度に不信感を持ちましたが、それは何故でしょう?
それは、Aさんから、渋滞は予見できないし、手続きは間違いなかったとして「自分のせいではない」という気持ちが透けて見えたからです。
確かにAさんと大渋滞は関係ありませんが、果たして次善策に対して全力を尽くしたかという点でどうでしょう。迂回路はないか、車以外の運搬方法はないか、商品が届かなくてもリアルタイムで映像を飛ばして対応できないかなど、社長に謝るしかないと考える以外の手段を取ろうとしたのかということです。
「責任」を意味する英語にはResponsibilityとAccountabilityがあり、敢えて意味を分けるとすれば、前者は行動に対する役割責任/実行責任であり、共有可能な責任として「担当者」でのレベルになるのに対して、後者は結果に対するものとして結果責任/成果責任となり、共有不可能な責任として「責任者」でのレベルになります。
当社には業務において責任感を持って実施している方ばかりだと思いますが、Aさんは前者のResponsibilityの意識で仕事を捉えていた訳で、ビジネスの世界では、社員一人ひとりがAccountabilityの意識を持って結果責任を負う気持ちで行動する必要があります。
他者との約束(業務にどう臨むのか)については、結果責任を意識している必要があるということです。もちろん取り切れる責任かどうかは別問題として、それくらいの意識を持って業務を行っている人は、仮に失敗しても何とか挽回する手立てを考えるものです。起こしてしまった結果は変わらなくとも、諦めずにもがく、2度と失敗しないように次につなげるということを前面に出すことが大切です。昨年度(元請、自営に限らず)インシデントを頻発させた当社がなすべき取り組みについては、その姿勢と結果が求められているのです。
参考:日経トップリーダー2024/2号 P72