方針
2024年05月09日立ち止まる勇気

親会社との関係において、コスト低減、グループ会社での技術保持、地元企業への技術移管を目指すものの、そこで、技術移管(当社が受けるもの、当社から行うもの)において経験知、暗黙知を完全に明確にして、インシデント(トラブル)発生を100%防止することはかなり困難であるとの認識です。そこでは、インシデントを起こさないという重要な観点であったとしても、技術的背景が異なることもあって学ぶべき相手が意識していない注意点等を表面化させるには、大いに困難が伴うと考えられるからです。
経験知、暗黙知を事前に十分にマニュアル化する努力をすることは言うまでもないことですが、技術移管のための学びの期間に、想定し得る全ての出来事が起こり、それを経験として学べるかというと、それもかなり難しいと言わざるを得ません。もちろん、技術移管を行う側も十分な経験を積んでいるとは限らず、想定し得ないことも起こり得るとの認識を持たなければなりません。
それでも、私たちにとって技術移管はしなければならないですし、インシデントは発生させないようにしなければならないのです。それでは、その場合の基本的に必ず行うべき、最も大切なことは何なのでしょうか。
特に手順書では常態的に行うことが前提になっていないような不慣れな状況、正常な稼働状態でない状況などにおいて、然るべきタイミングで立ち止まり、(本当に次の操作等を行って良いのかの報連相等を行う)確認行為を躊躇なく行うことだと思います。
この立ち止まる行為は、極めて単純な操作を行う上でも有効です。通常想定されていない状況や十分な拠り所のない判断で操作を行うとき、普段と異なる違和感が生じたとき、普段と同じであっても安全・品質に関わる確認が不十分ではないかと疑われたときなどがあった場合を考えて、そんな場合にはあったら予め立ち止まることを十分に想定しておくことが必要です。
立ち止まり確認する行為によって、工程の遅れや客先のクレームなどが頭をよぎることもあると思いますが、インシデント発生による影響(工程遅延、ロスコストなど)の方がより一層大きな問題になることをしっかり頭に入れて、安全と品質を確保することに重点を置きたいものです。
この立ち止まる勇気を普段から持てていることは、技術移管を受ける組織や構成員の極めて重要な資質だと思います。それには普段からの業務の中で又は会社文化としても、少しでも通常と異なる状況になったときに立ち止まる勇気が必要ですし、そのような場合を踏まえてでも、業務を最後まで頑張ってやり切る気概が必要だと思います。