方針
2024年07月09日オリジナリティの前に

大手牛丼チェーンと呼ばれるものは幾つかあり、東京に居た頃は気軽に食べられたこともあって、今の比でなく食していましたが、流石に六ヶ所村に居住するようになってからは、ファストフードの典型のようなチェーン店の牛丼が、何故か簡単には食べられない高級料理のような感覚に襲われることもあります(ちょっと言い過ぎ)。
さて、ご存じのように、牛丼チェーンの最古は吉野家です。吉野家は元々築地ですき焼き丼を提供していましたが、関係者の空腹をもっと手早く満たすよう提供できるようにしたのが牛丼の始まりです。これを持って、好評を得て提供されていたのですが、そこでその牛丼に出会った一人の男性が居ました。彼はその牛丼を大層気に入り、ぜひとも自分も牛丼を提供したいという思いから吉野家に通うようになりました。
その後、彼は商品や売り方(無料でみそ汁を提供する等)を当時工夫して提供するとして起業したのですが、彼こそが松屋の創業者です。
これに限らず、同じ商品に分類されても、もともと潜在市場性が高いようなものであれば、高いオリジナリティを持たせなくても、商品や売り方(対象市場の開拓)、サービスを工夫することで、潜在的な顧客を掘り起こし、先行者利益を得ている元の商品だけでなく、後発の自分の商品も合わせて相乗的に売れた例は、この牛丼に限った話ではありません。
別の例として、保険商品で、持病/病歴がある人も入れます、○○歳からも入れます、といった謳い文句で、さもウチの会社だけが扱っていますよ、得意ですよ、とTVCMや新聞で宣伝をしているものがありますが、実際は他社でも類似商品を扱っていて、商品はそう変わらないのに宣伝の仕方で差別化をしています。
市場性が高い商品で、いわば全国でも地域でも先行者利益を得るように商品を売るということは、投資回収の早期化を図り、実績を作る方法として戦略の一つとなります。また、市場が大きければ二番手戦略を取って、知的財産権を犯すことは避けつつも、適宜売り方や市場範囲を工夫して、他社のところの良いところは取り入れて、スピーディーにオリジナルに負けないくらい様々に頑張るということがあっても良いと思います。
オリジナリティの高さはカッコイイですし、その言葉の響きも良いのですが、開発に時間も掛かり、開発後に売れないリスクもあります。スピーディーにステップバイステップで開発を進めて、顧客が望む(と思われる)ものを早く提供してナンボであることも事実ですので、チャレンジや工夫の可能性をいち早く現実化していく必要があると思います。