JTボス通信JT Boss Blog

方針

2024年08月13日不適合と不適合管理

 引き続き、品質保証シリーズです。

 不適合という語を耳にします。不適合って何でしょうか?「要求事項を満足しない状態」です。

 原子力業界では、JIS 9001に表される品質保証の考え方が法令要求に組み入れられており、安全を確保するために保安規定に基づく要求事項が整備されていますが、この要求事項を満足しない場合に不適合とされます。これは安全品質上の不適合です。

 一方、製造業に代表されますが、作った製品や成果物に要求事項を満足しない場合に不適合とされます。これは製品品質や役務品質上の不適合です。不適合品と呼ばれる場合もあり、一般産業や日常生活ではこちらの方がなじみがあります。

 このように不適合も詳細にみると区分することができますが、規制当局が安全品質上の不適合に絶えず目を光らせているというのは、原子力業界特有といえます。

 ところで、我々の職場における日常会話では、不適合と不適合管理を混同して使う場合がありますので注意が必要です。例えば、施設内で蛍光灯が切れた場合は不適合か? 不適合ではないと答える人が結構多いのではないでしょうか。蛍光灯に要求される機能は、スイッチを入れた場合に明かりを照らすことですから、切れた場合は要求事項を満足していません。立派な不適合です。でも、いちいち不適合レベルCとかあてはめて管理するでしょうか? SG上の機能をもつとか特殊な蛍光灯とかは別ですが、一般的には速やかに交換すればよいだけでそのことは周知の事実です。即ち、不適合管理までは必要としないのが普通です。この時、不適合管理を要しないということをもって不適合ではないという会話が成立してきます。

 不適合は起こさないことが大事ですが、起こした場合には速やかに処置することが必要です。不適合を起こすと、往々にして罪悪感にさいなまれます。この感情は大事ですが、合わせて、不適合はよい改善の機会と前向きにとらえることも重要です。なお、不適合を処置する場合、品証用語として、不適合の除去とか修正という用語が使われます。



Copyright j-tech66.co.jp