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方針

2024年08月08日保安規定違反の考え方の変化

 2020年度の新検査制度の導入に伴い、保安規定違反と判断される事象にも変化がありました。

 それまでは、保安規定に記載されている事項が実践されていない場合、その影響の大小によらず保安規定違反とされました。「○○課長は△のタイミングで◇◇を行う」とあった場合、例えば、(かなり極端な事例ですが)別の□□課長がそれをやっていたら? 責任者が成すべきことをしていないので、立派な不適合です。なお且つ、保安規定に抵触することは明白で、たとえ安全性が確保できていたとしてもルールに適合していないとして保安規定違反と判断されました。

 2020年度以降は、パフォーマンス劣化という考えが導入され、ルールへの適合性という観点よりも安全上の影響の度合い(パフォーマンス)で判断されます。また、パフォーマンス劣化があると判断された場合、その処置を事業者に任せてよいか、規制当局が介入すべきかの判断がなされます。

 前述の「○○課長が実施していない」事例では、別の課長とはいえ、安全上必要な処置がなされていれば、必ずしも保安規定違反とは判断されません。また、必ずしもパフォーマンス劣化とも判断されません。ただし、保安規定に抵触する行為であることから、その事実に事業者が自ら早期に気づいて処置することが重要であり、規制当局に先に指摘された場合や、そのような状態が長く継続していた場合などは、パフォーマンス劣化と判断される可能性が高まります。

 このように、従来は、ルールからちょっとでも逸脱すると大騒ぎでしたが、変化しています。事業者も、CAPシステム等を利用して自ら気づいて処置する方向になっています。

 もちろん、設備に重大な不適合が発生し、一般公衆に影響を及ぼす可能性が高まると、パフォーマンス劣化・規制当局の介入という事態になりますので、このような事態は回避しなければなりません。

 また、保安規定違反を取られないからよいということは決してなく、我々は不適合を行こさないことが重要なのは言うまでもありません。また、起こしてしまった場合には、速やかに関係者に共有して処置することが安全品質、製品/役務品質の確保への近道になります。



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