方針
2024年07月18日思い込みの回避

比較的有名な話として「情けは人の為ならず」を間違って、字面から来る思い込みで違う解釈している人がいます。即ち、情けを掛けることは、その人のためにならないという意味ではなく、本来は人に対して情けを掛けておけば、巡り巡って自分に良い報いが返ってくるという意味です。
この言葉は、十和田市に記念館のある新渡戸稲造の著書を語源とする説もあり、それによれば、「情というのは人のためではなく自分のためにかけるものだ。人にしたよいことは忘れてもいいが、人からよくしてもらったことは忘れてはいけない」、「情けは見返りを求めるために人にかけるものではない」ということを伝えています。
このように、思い込み(自分にとっての常識)による誤用から真意を辿ると、新たな面が見えてくることがあります。過去にも採り上げたものを含めて、幾つか例を挙げます。
「ほうれんそう」(報連相)は、もちろんそれを行うことはもちろん重要ですが、そうすることに抵抗がない環境を作れというのが元々の意味です。
「お客様は神様です」は、サービスする側の言葉であり、そのくらいの気持ちで接するよう心に留めるとすべきところを、カスタマーハラスメントでクレーマーが文句を言うように、サービスを受ける側が勝手に取り上げてサービスする側に主張するようなことではありません。
「和を以て貴しとなす」は仲良くすれば良いということではなく、正直に意見を言い合って(戦わせて)お互いを理解し合おうというものです。
人に伝えると言葉は都合よく変遷してしまうので、それなりにマッチしている場合もない訳ではありませんが、元々の意味を正しく理解した上で、その背景も含めて思い込みでなく使用することが大切であると思います。
このことは、言葉の使い方だけではなく、作業、操作その他においても、思い込みで「これまで通りだから問題ない」、「任せておけば大丈夫」、「普通にやってくれるだろう」ということがないようにしましょう。即ち、自分自身の責任において本当に確認すべきこと、行うべきことを行っているかという点を踏まえて、多忙その他自分の都合を言い訳にしないで、主体性を持って本来あるべき業務を行うようにいたしましょう。
インシデントの発生は自分の都合や思考を慮ってくれませんし、むしろそれを原因とすることも多いのです。当社のインシデントの大半はこのことによって防げると思います。