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方針

2025年01月21日ビジネスに適する(読みやすい)文書

 文章の組み立てを考える時に、基本となるのは「起承転結」です。物語などはこの構成で、学校の作文の授業でも習った記憶があると思います。この構成の場合、エッセンスは末尾の「結び」や「まとめ」になります、つまり、内容の重心が後ろに集中することになります。この構成は、記載された文章をすべて読んで初めてその趣旨を理解することになりますので、ドキドキワクワクしながら読む小説には適していますが、効率的に物事を進めたいビジネスにおいては、実は不向きです。ビジネスには、最初に何を言いたいか、簡潔に述べてから詳細内容を記載する方がはるかに効率的で合っています。内容の重心を前に持ってくる「重点先行主義」の構成です。

 「重点先行主義」の見本になるのは、以前にも述べましたが、新聞の報道記事です。題名があって、リード文があって、本文がある。新聞記事では、題名とリード文で要点を理解することができます。大抵の場合はこれで事足ります。さらに詳細を得る必要がある場合に本文を読めばいいという構図です。

 情報の伝達順序は「概観から細部へ」が重要です。情報の伝達を目的とする説明文などが当てはまります。伝達する情報について、まず大づかみな説明をして読み手に概観を示してから詳細に入るというやり方です。最初から、細かい説明をした場合、書き手は理解していても、読み手がついていけない場合が多いです。逆に、読み手が最初に概観をつかめられれば、詳細な内容の説明に対する理解・吸収は格段に容易になります。

 担当者の業務は、ファクトを調査して、データを積み上げて、結論をまとめるというようなやり方になりますから、その仕事の順番通りに説明すると、どうしても細部から説明してしまうことになります。「概観から細部へ」を実践するとなると説明の順番は変えなくてはいけません。仕事の順番と説明の順番が一致しないところに難しさがあります。スキルを身に付ける必要があります。

 また、最初に概観を述べることは、定量的な説明というよりも、考察をはじめとする定性的な説明が求められる場合が多くなります。積み上げたデータから得られた結論を、そもそもの目的や背景に照らして、わかりやすく定性的に説明しなおすことが必要となるということです。

 例えば、定量的に積み上げた数値だけを示して、結果がこうなりましたと最初に説明しても、それは自身の作業内容を説明しただけであって、概観を述べたことにはならない場合がほとんどです。読み手は「だから何?」とピンと来ないでしょう。「もともとの考えに沿った数値が得られ、検証されました」とか、「こういった傾向があり、今からこういった対策が必要なことを示唆しています」とか、概観には、そもそもの目的や背景に合わせた考察的な表現が求められます。

 慣れていない方は、何回か練習して、そのスキルを身に付ける必要があります。ここも難しい点の一つです。

 チーム内には、まとめ方の経験を積んだメンバーがいると思います。チーム内で指導や助言が行われることで、これらスキルを身に付ける速度が上がると思います。

(関連)2024年11月12日「PPT」
https://www.j-tech66.co.jp/blog/?sc=241112_141636261

(参考資料)
「理科系の作文技術」中央公論新社





 



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