方針
2024年04月16日動物園
朝が弱く、力仕事が苦手で、口下手なため、仕事勤めが続かない男が、午前10時出勤で夕方には仕事が終わり、何も持たず、しゃべらず、昼食・昼寝付き1日○万円だという仕事を世話してもらった。その紹介状を受け取った男が着いた現場は、なんと動物園だった。
園長は男に、目玉展示の動物である虎が死んでしまったため、残った毛皮をかぶって虎になりすまし、開園時間の10時から16時までの仕事で、檻の中を歩き回るだけで、しゃべる必要もない、と言った。自分が求めていた条件と合うのでその仕事を引き受け、毛皮をかぶった男は、園長に虎の歩き方を教わって、虎の檻に入れられた。
開園時間になり、多くの観客が虎の檻にやって来た。楽とは言え空腹だった男は、子供客の持っているパンほしさに「パンをくれ」とつぶやいてしまった。それを聞いて思わず子供が投げ込んだパンを食べるために、男は着ぐるみから手を出してパンをつかみ、子供に不審がられた。そこで、男はうなり声をあげ子供を泣かせて、なんとかごまかした。
それでも男は空腹が極まり、タバコも吸えず、難渋していたところ、動物園のアナウンスが「虎とライオンの猛獣ショー」の開催を告げた。虎の檻の中にライオンが放たれて、男はパニックに陥った。
と、ここで話が終われば、世の中に楽な仕事はない、という教訓で終わるのですが…
ライオンは大きなうなり声を上げながら男の耳元に近づいて、「心配するな、わしも○万円で雇われたんや」と。
と、以上が落語のネタにもなっている動物園というお話ですが、世の中には、楽がしたい／ごまかしたい／騙そうとする人が多く居て、時としてそんな人たちに騙されていることもあり得ます。
上述の話は着ぐるみベースでの話ですが、世の中的にはＡＩによる本人そっくりな動画、修正画像等々がネットで流布していて、昨今ではイギリス王室に纏わるニュース（写真加工の実施、フェイクニュースなど）において話題となっています。
真実が何であるかを見分けることが難しい時代にもなりつつあります。そんな情報にも騙されないよう、作業時における安全確保、品質維持のためと同様に、先ず一歩立ち止まるという冷静さが必要です。
