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2024年04月02日視覚効果賞

 「ゴジラ-1.0」が見事にアカデミー賞の視覚効果賞を受賞しました。

 ブログではストーリーや背景を中心に記載したのですが、今回の受賞は視覚効果賞ということで、VFXを用いた製作費の安さに目が向いているようでした。もちろん邦画としては安価な製作費ではないのですが、ハリウッド映画に比べれば桁違いに安いことも事実です。私としてはゴジラを生んだ背景に米国の核兵器開発(核実験)が関与していたということから、反戦メッセージを受け入れられたところに興味があるのですが。

 さて、このような安価なVFXを可能としたのでは、山崎貴監督自身も所属する「白組」の35人の若手技術者たちによることについては、ニュース等で語られている通りです。この若き技術者たちはVFXの取り組みに対して極めて意識が高く、特にこの「ゴジラ-1.0」で海のシーンは素晴らしいものがあり、監督がその出来を見て海のシーンをわざわざ増やしたということがあるそうです。

 この海を担当した技術者は、ある時監督にとある海のシーンの出来にコメントを求めた際に、監督から「いいね~」と言われても、「私たちは世界に打って出るんですよね。それでも本当に良いと思っているんですか?」と言った挙句、さらに作業を続けることもあったとか。このように監督が「良し」としても自分が納得できないものは手を入れ続けたと言い、監督自身が「監督が良いと言っているのに…」ということが何度かあったようです。

 しかしながら、一方では山崎監督自身がそのような何でも言える職場環境を作りたいと望んでおり、その結果として良い仕事ができると思われていました。それと同時に、当の技術者もそのような職場環境が普通ではなく恵まれているという感覚を持っていて、その期待と責任に応えることで、良い作品が生まれたとも言えるのでしょう。この作品の製作費の安さの一端が、技術者の報酬の安さになければ良いのですが。

 当社では手順書通り言われた通りに行うことが重要な場合が大多数ですが、こんな話があると、技術開発、カイゼン、各種提案などの職務によっては、自分たち、ひいては客先のために時として納得できるところまで検討をするという姿勢もあって良いのかもしれません。もちろん、その際の評価はしっかりすべきと思っています。



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