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方針

2022年08月18日弓道由来

 アーチェリーには左利き前提もありますが、和弓は左利きを前提にしていません。弓道場には射るときの正面に神棚があり、そこにお尻を向けないようにしているためです。

 それを踏まえて右利きを前提として話すと、アーチェリーでは矢を弓の左側に位置し、弦を顔に付くまで引いて、矢を放つときに弦が矢をまっすぐに押し出します。しかし、和弓では矢を弓の右側に位置し、弦を顔の後ろまで引くので、矢を放つときに弦が矢をまっすぐに押し出すと頭に当たってしまうこともあり、矢を押し出す弦は一旦体から離れるように矢を押し出し、押し出し切る時には弦の位置が左手の手のひら側から甲の側にくるりと回ります。即ち、弓が左手の中で一回転するように、弓を押しつつ回転を掛けるので、左手の形は極めて重要です。

 これが所謂のちから「手の内」という言葉の由来になっていて、皆さんも「手の内を読む」とか「手の内を明かす」とかは聞いたことがあると思います。似た語源の言葉として「手心を加える」なんていうのもここから出ていると聞いたことがあります。

 弓道の所作という点では、「一矢報いる」、「矢継ぎ早」、「満を持す」(弓を十分弾き絞ってそのまま構える→準備を十分して時期の来るのを待つ)なんていうのがあります。「弓を引く」(反抗する)なんていうのはそのものズバリですね。

 他に変わったところでは、「引き分け」もそうで、射法(正確には射法八節)における弓を押し、弦を引くことにより、左右均等の力で押し引きすることから、勝負の付かないことが「引き分け」になったとされています。

 因みに、十分引き分けて矢を放つ直前の引き絞り狙っている状態を「会」、放つ瞬間を「離れ」と言います。これは、仏教用語の「会者定離」(会う者は定めて離れる)から来ていて、弓と矢が出会っても必ず放たれる(離れる)関係からという深い話もあります。

 いつかは来る別れがあっても、その時までは頑張りたいと思わずにはいられません。



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