JTボス通信JT Boss Blog

方針

2024年04月25日夫婦と3つの餅

 ある夫婦が近所から3つの餅をもらった。それを2人で1つずつ食べたが、残った1つは、先に言葉をしゃべった方が食べられず、黙っていた方が食べるということにした。

 一言でも先にものを言えば餅を食べることができないので、2人はどんな用事があっても、全て手真似で用を足して沈黙を守っていた。

 その夜、盗賊が家に入ってきた。2人は例の約束があるので、目は開いていながら黙っていた。やがて賊は2人とも口が利けないに違いないと合点して、女房に乱暴をはたらき、一切の財産を持ち去ろうとした。夫はそれでも黙っているので、妻は耐えきれずに叫んだ。

 「賊がこんなことをしているのに、あなたは一つの餅のために黙っているとはいったい何事ですか。」
 夫はすかさず「さあさあ、これで餅は私のものだ」と手をたたいて喜んだ。

 小さな名誉や利益にとらわれ、大きな尊いものを失っているような人は、案外多くいるものです。この寓話では、とらわれた小さなこととは餅を食べるという利益であり、大きな尊いものとは妻と財産です。どちらが大事で、どちらが大事でないかの判断を夫はできなかったということです。

 言い換えると、この寓話では、大事なものを失うところだった(失った)夫のように、過去のこと、言い換えると自分だけが大切だとか、逆にいい加減にしても大丈夫とか思い込んでいることに縛られて、そこで正しく判断していないことの愚かさに気づかないことがあるということです。

 ここでの判断は自分自身が決めることとは言え、そのことによる自分の然るべき責任は自分で取らなければならないという自覚は必要です。誰であっても、その判断は極めて冷静に落ち着いて行って言動すべきものであり、その判断によってインシデントやトラブルを引き起こすことで、自分以外の人を巻き込み迷惑を掛けないように気を付けましょう。

参考:『座右の寓話』、戸田智弘、ディスカヴァー・トゥエンティワン



Copyright j-tech66.co.jp